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[扉をあけて]第5回ひきこもり 自分の感情に素直になったら
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/aitakute/news/20040510org00m100010000c.html

前回の記事のおわりに「(つづく)」がなかったので最終回だと思いこんでいたのですが、今回の第5回で「(おわり)」とのこと。わたしが気になっていた「ポーランド精神科医」については、それが誰なのかわからないまま連載終了です。

この最終回の記事で、いくつか気になったことについてメモ。

(1)ユウジ(仮名)さんが受けた治療プログラムは?

治療プログラムとして、複数の聞き手を前につらい体験を話す人を、慰める役割が回ってきた。ユウジは「こういうの苦手なんだよな」と思っていた。が、涙をこぼしている人のそばに行き、肩に手を置いた瞬間、じわりと涙があふれてきた。ユウジは、こみあげてくる自分の感情と涙に驚いた。すっかり、忘れ去っていたことだった。戸惑いながらもうれしかった。自分の中にある素直な感情を発見したという。

当事者が当事者を慰めているようなので、これは自助グループ的なものでしょうね。ACの当事者グループではないかと感じているのですが……すくなくとも「ひきこもり」の名称をかかげたグループではなさそう。

(2)「自信」が先か、試行錯誤が先か

以下、記事にみられる「自信」の言葉を強調して引用します。

 間もなく、医師のもとで働く女性スタッフを好きになった。思い切って気持ちを打ち明けた。ふられたが、自分の気持ちを十分に受け止めてもらった、と初めて実感できた。いままで、けんかばかりしていた父と母のもとで育ち、自分の感情を出すことを、恐れ、拒絶するようになっていた自分が、感情をストレートに表現できたことが自信になった。

 最大の転機は2年前に、現在のウェブデザイナーの仕事に就いたことだ。「ひきこもりだった自分が、世間に出て仕事をしている」。それだけで、背負っていた重荷が取れて、気持ちは軽くなった。それに、自分の作ったものが仕事として認められるのは、とてもうれしくて自信につながった。

ユウジは、以前よりも重要な仕事を任されている。「いまでも、打ち合わせで自分の意見を言うのに気後れすることがあったり、うまく伝えられなかったりすることがある。でも、もっと自分に自信がついて、父と母を許すことができれば、自分の気持ちをもっと素直に語れるようになると思う」と話す。

 そう言う姿には、すでにその自信が見え隠れしている。

「自信」を感じることができるだけの精神状態をもったひきこもり当事者なら、試行錯誤のチャンスさえあれば社会参加できるようになる──このように理解したのですが、ある程度の「自信」があってはじめて試行錯誤する状況に飛び込めるような気もする……。

(3)脱ひきこもりの物語には失恋がよく登場する

フィクション、ノンフィクションを問わず、脱ひきこもり物語における「失恋」の意味(機能?)について考えてしまう。これは「自信」という言葉とも関連している気がします。