『わかってほしいんや』

http://www.nhk.or.jp/special/libraly/04/l0003/l0313.html
眠ることなく、無事にNHKスペシャル『わかってほしいんや:ひきこもり・15年の歳月を越えて』(再放送)を視聴。NHK「ひきこもりサポートキャンペーン」の集大成のような番組だったわけですが……ちょっとエエ話やなぁと感じてたりする自分が、恥ずかしい……。

家族のコミュニケーションは外部からの介入がないかぎり変化しない、この家族療法の原則のようなものが番組をみるとよくわかる。取材対象となったはじめさんの家族の場合は、新潟の高橋さんよりも、家庭にやってきたNHKの取材スタッフのほうが介入効果が大きかったという印象。

そして、問題の「性愛転移」について。はじめさんと高橋さんの関係に関しては「新潟で一人暮らしするためにバイトさがすぞ!」という段階で番組がおわったので、今後のことはよくわからないとしか言えない……。というか、あの番組をみて「転移」の問題に気づきツッコミをいれた id:phasma さんの眼力に敬意を表します。

高橋さんは支援者としての経験をつんでいるでしょうし、おそらく転移の問題にも気づいているのではないかと勝手に想像してみたり(はじめさんとの「再会」もドキュメンタリー取材という枠組みから完全にフリーとは言いきれない複雑さがあって、それが性愛転移の対策にもなっているかなぁと)。今後、ひきこもり支援活動が活発になってボランティア支援者がグループに多数参加するような状況がやってくるならば、そのときは性愛転移に対するきちんとした対策が必要になるのかもしれません。

支援者と当事者の恋愛感情の問題、これは「看護師と患者」「風俗嬢とその客」「障害者と介助者」といった状況にもあてはまる問題なのでしょうが、この恋愛感情の問題は理屈では完全に割り切れない部分がふくまれていると予想されるわけで、理屈じゃなければなんの問題なのかというと、それは対人コミュニケーションのセンスやスキルの有無に還元されちゃいそうな問題なわけで、それってひきこもり当事者にとってはいちばん苦手な分野だったりするわけで……。

この苦手分野を克服するための定番?参考書として、二村ヒトシ『モテルための哲学』幻冬舎文庫ISBN:4344402502)が存在することを確認し、とりあえず眠ることにします。この本は『すべてはモテるためである:「キモチワルイ」が「口説ける男」になる秘訣』KKロングセラーズISBN:4845405865)の文庫版ですが、このサブタイトルが本書の内容をすべて語りつくしているとおもいます。