性愛転移

「転移」とは精神分析に由来する概念。というわけで、番組をよりじっくり見ようというおもいから、精神分析の観点からみた「性愛転移」について箇条書き。

  • 性愛転移とはどういうものか
    • 患者が分析家に激しい恋をした時、分析家はこの専門用語を使って情緒的に距離をとる
    • 性愛転移は患者にとって多くの意味を持っている(安心感や介護欲求、敵意の隠蔽など)
    • 患者が愛情への強烈な願望をもつのはどのような葛藤が原因なのか探ることが最善策
    • 患者は自分の性的欲求が即座に満たされないと分析家に復讐や脅しをかける
  • 分析家は性愛転移を受け入れない
    • 一時的な欲求をみたしても、けっして患者の心理的な成長をもたらさない
    • 患者と分析家の情事は近親相姦に匹敵し両者にとって破壊的(患者は分析家を両親像とみなすから)
    • 患者の性的欲求を完全に無視することも「自分は性的な願望を持つことが禁じられている」と患者が無意識に思い込む危険性があり破壊的
    • 成長する子供を持った親のように、患者の性的衝動を即座に満足させることなく同時にそれを受け入れるような姿勢が分析家に求めれる

以上は『ある精神分析家の告白』(ISBN:4753393100)を参考。同書第3章では、魅力的な患者を前にしたときの分析家の感情(逆転移)について分析家自身が「告白」している。この「分析家と患者」の問題が、どこまで「支援者と当事者」関係に適用できるのかわからないけれど。精神分析の業界では、患者の性的魅力に負けてしまう分析家もいるようですが……。