森田療法と「アパシー」「モラトリアム」の相性は?

岩井寛『森田療法講談社現代新書ISBN:4061488244

最近、問題になることが一つある。それは神経質(症)の特徴である“かくあるべし”という“完全欲へのとらわれ”がさほど明確でなく、こうありたいと願う「生の欲望」があまり強くなく、自己内省的な心理的“内在化傾向”があまり強くない若者たちが、神経科の外来を多く訪れるようになったことである。筆者はそれを「内在化と外在化の低下における病理」として、発表した。
人間は自己省察を行ない、内面に想いを圧縮すればするほど、それを外在化し、生命エネルギーとして開花させ、ときによっては創造性に転化させることもありうる。神経質(症)に悩んだ人々の多くが、治癒後に立派な仕事をしているのはそうした心理状態によるものなのである。ところが、最近は「アパシー」とか「モラトリアム」とかいわれる青年が増えたこともあって、自己内省が少なく、したがって、それを外在化していく心理機制も弱くなったのかもしれない。(118、119ページ)

森田療法では開始後1週間ほどベッドに横たわって暮らす「絶対臥褥(ぜったいがじょく)」があるけれど、たしかにわたしだったら1ヶ月くらい平気で寝てしまいそうだ……。

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