斎藤学先生の「ひきこもりの治し方」講座

学歴圧力から引きこもり〜斎藤学先生の「引きこもりの治し方」講座(1)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/topics/news/20040728org00m100052000c.html

 斎藤医師は、これらのひきこもりの例で、父親が治療に加わった場合の改善率は78・6%という調査結果をあげた上で、「父親はなかなか治療に加わろうとしないが、いったんクリニックにやって来ると、自分のプライドをかけているので、家族に治療効果が浸透する」と、家族療法への父親の参加を訴えている。

日本の家族は「密閉された神聖な場所」〜斎藤学先生の「ひきこもりの治し方」講座(2)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/topics/news/20040812org00m100154000c.html

 結局、ひきこもりは、「家」という名の密室に入れそのままにしておくから問題になる。子どもを外に出そうという準備がない。ひきこもりを秘密のごとくに考えているのは、日本の家族が「秘密=保護」と考えているからではないでしょうか。一人一人がナルシシズムの中で、自分のプライバシーを宝物みたいに思い、だんだん外に出ていくことができなくなる。いわばプライバシーノイローゼで、不潔恐怖の国を作っている。ある程度、プライバシーを犠牲にして、家の中に近所の人らが入って来るようなつきあいをすれば、ひきこもり問題の解決につながると思います。

どちらの「ひきこもりの治し方」も、第三者機能不全家族へ介入するという点で共通しているようにみえる。

◆追記 2004-09-11
いつものことながら、わたしにとって MSN-Mainichi「こころ」の連載記事(とくに「和田明美」さんの署名記事?)は、連載が続くか否かの判断がむずかしい……。

ひきこもりの後〜斎藤学先生の「引きこもりの治し方」講座(3)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/topics/news/20040909org00m100136000c.html

 このように、家族の中に隠蔽され家族成員相互のコミュニケーションを阻害していた要因が除去されて行くうちに、家族内の人間関係に変化が生じる。その変化が問題を消したり、別の問題へと移行させたりする。

 結局、この娘が引きこもった理由は、酒と睡眠薬を一緒に飲んでしまう母親を弱い人と思っていたからのようだ。もちろん、それを意識していたわけではないが。自分がいつもそばについていないといけないと思ったので、東京の大学などにのんびり通っていられなくなったのだ。摂食障害も不潔恐怖も引きこもりも、自分の母をそばで見守るための手段だったのだということが今になるとわかる。

母親の性的トラウマの治療というか解決方法が記事の中心。自分の強姦被害を「ミーティング」で話すことを母親にすすめたことに関連して、斎藤学はつぎのようにのべている。

この母親は、それから数カ月に渡って毎週最低1回は、自分のレイプ被害とその前後の状況(それには事件のあとすぐに退職し、現夫と結婚したことも含まれている)についてみんなの前で話し続けた。

 こういった話をみんなの前で話せるのは、この女性の強さだと私は感心した。被害者であることは恥ではなくて、加害者が恥じるべきなのだ。被害者が恥じて語らないとしたら、弱者のままになってしまう。それぞれの弱者はそれぞれの弱さに見合った「心の病気」を表現するようになる。弱者と思っている人々はまず、自分の「強さ」に気づかなければならないのだ。引きこもりの人々も「あえて引きこもっていられる自分の力」に気づくべきなのだ。

「強さ」や「力」が、この記事のキーワードになるのかな。